壬くんにするか天童くんにするかごっつい迷った。





恋愛ゲーム








 最初はそう、ただその場を乗り切るだけのきっかけに過ぎなかった。

「デートはまた今度」

 なんていいながら、もう会うことはないだろうと思っていた。だってそう思っていたに違いない。
 でも、偶然街中でを見かけたとき。はば学の制服姿のアイツを見たとき。
 初めて会ったときとは違う優等生の空気を纏うに距離を感じながらも、声を掛けずにはいられなかった。

「ゲーセン行こうぜ。あ、はば学のお嬢さんはそんなとこ行ったりしねぇか」
「――そんなこと言ってない!!」

 予想を反する力いっぱいの回答に、俺の方が驚く。
 羽学もテストが近い。学校ごとでそう違いがあるとも思えないからだって帰って勉強する気だったに違いない。
 しかしはまったく気にした様子も無く、会って二回目の俺と――しかも一度目の印象ははっきりいって良くないはず――ゲーセンへ赴き、戦利品のぬいぐるみを両手一杯に抱えて満面の笑みを浮かべていた。
 彼女の手の中にあるぬいぐるみが、道を誤った今の俺に手にすることの出来なかったものに見え、それを抱えて無邪気な笑顔を浮かべる彼女に惹かれないわけが無かった。

 ――単純に、羨ましかったのだと、その時はそう思っていた。

 今思えばそのときからなんとなく感じ取っていたのだ。が、その小さな腕に抱えている俺には取ることの出来なかった大切なぬいぐるみを惜しげもなく分け与えてくれるだろうという予感。
 それは会うたび核心へと変わっていった。そして羨ましいという感情が『恋』へ変わるのに時間はそう掛からなかった。もしかしたら始めから惚れていたのかもしれない。
 に会うと疲れた心が癒されて、名前を呼ばれたら自然と笑顔になれた。
 だから、親や学校との関係や勉強に疲れたとき、無性にに会いたくなって。学校前で待ち伏せしたことだってある。嫌な顔で見ていく『はば学のお嬢さん』が多い中、俺の姿を認めたあいつは笑顔で駆け寄ってきてくれた。

 そんなに、俺はバカみたいに惹かれていった。

 学校を卒業して、付き合うようになってからもそれは変わらない。
 ぬいぐるみをどんどん俺に分けて満たしてくれる大切な大切な……




 ポコッ



「いてっ」
「聞いてる? 天童くん」
 しまった。今勉強を教わってる最中だった……。
 完っ全にトリップしてたな…。
「ワリィ。も一回説明して?」
「……もぉ。あと一回だけだからね! 勉強中になに考えてたんだか」
「――お前のことだよ」
「…え?」
 小声でいったつもりだったが、しっかり聞こえていたらしい。
 目をまん丸に見開いて、俺を凝視している。しばらくそのまま固まってたの顔が、みるみる真っ赤に染まっていく。
「なっなに考えて……!」
「最初にあったときのこととか思い出してたんだよ」
「へっ!? あ、そっち!?」
 そっち?
 ……。
、お前まさか変なこと想像してたんじゃ……」
「違っ! だって天童くんが変なこというから!!」
「ふーん?へーぇ? 勉強中になに考えてんだ」
「天童くん!!!」
 怒る彼女を引き寄せ、唇に軽く触れるだけのキスをする。
 そのまま抱きしめていると最初は暴れていたもしだいに大人しくなり、困ったような笑みを浮かべた。
 最初はゲームのような感覚で始まった関係だったけど、今は最高に幸せだ。
 このままが腕の中にいてくれるかぎり、ずっと。




ナンダコレ(笑
前半単なる独白じゃん。お題それてないし。