まとまりなくて読みづらい(ぇ
夏休みの終わり
「あー、お帰り」
「……お前、人の部屋で何くつろいでんだよ」
夏休み終了間近、冬の選抜に向け部活に出ていた俺が帰ってくると、幼馴染のが部屋の主である俺以上にくつろぎまくっていた。エアコンをばっちりつけてベッドに横になり最近買ったばかりの漫画を広げ、俺に背を向けている。
「わたしの部屋、エアコン壊れちゃってさぁ。知ってると思うけど風通しもよくないでしょ? もう耐えられなくって」
「で?」
「一応おばさんには許可とってあります」
「……」
ああ、二つ返事でOKだすお袋の姿が目に浮かぶようだ……。
確かにコイツとの付き合い(幼馴染としてのな!)が復活した時も泣いて喜んでたな。あの時は本当大変だった。これからもヨロシクね、とか余計なことばっかりいいやがって……。
俺が無言になったからか、は体を起こしてニヤリと笑いながら俺の方を向いた。
「まあまあ、アンタにも悪くない交換条件用意しといたから」
「なんだよ?」
「宿題、終わってないでしょ?」
「う……っ」
「その様子だと、終わってないようダネ?」
「部活で忙しいんだよ! しょうがねぇだろ」
俺が開き直るように怒鳴ると、は何処から出したのか出ている夏休みの課題をすべて俺の前に並べた。そう、それはすべて終わっているの宿題たちだ。はっきりいって、眩しい。
「写させてあげる&手伝うっていうので、アンタの部屋の一角を貸す。どーよ?」
ス、といい終わるのと同時にが右手を差し出す。俺は特別迷いもせずその手を取り必要以上に強く握った。
「のった」
「って! 痛いよアホ!! 折れる!!」
「この程度で折れるようじゃ、よっぽどカルシウム不足だな。その年にして骨粗鬆症とは嘆かわしい」
「おおっ! アンタの口からそんな難しい言葉が漢字で飛び出すとは!」
「、テメェ馬鹿にしてるだろ」
「分かった?」
ズビシッ
俺は一発の頭にチョップをかまして、それから散らかり放題の机の上から課題を探し出し、ほぼ白紙状態のものをにそのまま手渡した。
「……これ酷っいなぁ。これだけの量を後数日でやるつもりだったわけ?」
「まあ、毎年そうだし。終わらなきゃ最終日徹夜すりゃいいだろ。それでも無理なら“忘れた”で誤魔化す」
「毎年っていうな。中学の時はわたしが強制的にやらせてわりと余裕のある夏休みだったでしょ」
は宿題の束をバンバンとテーブルに叩きつけながら言った。……たしかに、思い返すと余裕の無い夏休み(後半)を送っていたのは高校に入ってからか。
適当に謝りながら座ろうとすると突然が制した。
「なんだよ」
「座る前に、シャワー浴びてきなよ。汗でベッタベタでしょ?」
「いいのか?」
「うん。進めとくからチャチャーと行ってきな。ただし、帰ってきたら休む暇与えないからね」
「ヘイヘイ」
にシャーペンを渡して、俺は着替えを持って部屋を出た。
シャワーを浴びて部屋に戻ると、そんなにのんびりしてきたわけでもないのに国語宿題は終わっていて、数学に取り掛かっていた。曰く、アンタの字みたいに汚く書いていいから楽、だそうだ。
……そういえば。
「なあ、」
「んー? なんか変なところでもあった?」
「いや。……お前さ、俺の名前呼ばなくなったよな?」
「………………そう?」
なんだその間は。自覚あるってことかい。
「そうだろ。“アンタ”としか呼ばねぇじゃん」
「アンタの気のせいでしょ」
「ほら、みろ」
指摘され、は急に手で口を塞ぐ。それから目を泳がせて俺の方を見もせず返事もせず無言で宿題に取り掛かった。これは都合が強制的に話題を終わらせようとする時のの癖みたいなものだ。
「おいおいおい。なんでか絶対答えてもらうぞ」
「い、いいから手を動かす!! 終わんないよ!」
「つっても、もう半分終わったじゃねぇか。明日やっても余裕だろ」
が今気付いたように残りの宿題を見た。実際は半分以上終わっている。しかも終わっている半分以上をが終わらせていた。
「おらっ答えろ」
「え、偉そうに言うな!」
「答えて下サーイ」
「うわっ、腹立つ!」
「どうしろっつーんだよ」
思わずククッと笑いながら言うと、は心底困ったように眉をハの字にしどうしたものかと手を遊ばせていた。
……面白い。
これだけ困っているを見るのは久々で、ついつい意地悪したくなった俺はの隣へ移動すると、頬へ手をやり、親指で唇をなぞった。
「答えねぇと、キスするぞ?」
「!!!! バッ! 馬鹿じゃないのッ!? 最低!!」
「お前だって馬鹿だろうが。いくら幼馴染とはいえ男のところにキャミソール一枚で来てんだからな。襲ってくださいっていってるようなもんだろ?」
「違っ…! 何考えて……」
真っ赤になって必死に否定するを見て、なんだか俺の方が恥ずかしいというか、妙な気分になってきた。
つーか、ここまで慌てるとは予想外だ…。しかし、ここまで来たら続けるしかないだろう。絶対吐かせよう。
「なあ、前みたいに呼んでみろって」
「よ、呼ぶ。呼ぶから、ちょっと離れて」
「呼ぶまでこのまま……いや、もっと近づくぞ」
「!!」
の肩をしっかりと押さえながら徐々に顔を近づけていく。腕で突っ張って距離をとろうとしているが、鍛えている男の前ではまるで無意味だ。
「一言呼ぶだけだろ? ほら」
「〜〜〜〜ヒ、ヒサが悪いんだからね!!」
「……は?」
呼ばれた。確かに前のように名前を呼ばれたが…悪いってなんだ。
「なんだよ、悪いって」
「だって! ヒサの方から離れていったじゃん!! わたしも追わなかったっていうかほっといたけど、今更なんて呼べばいいかわかんなかったの!」
それに、とはどんどん続ける。
「なんかキモイ髪型になってウルセェとか怒鳴るし、余計近寄りがたくなったと思ったら今度は髪さっぱりして爽やかバスケットマンになっちゃって、なんかかっこよくなっちゃうんだもん! それはそれでなんだか近寄りがたくて、でもヒサは中学の時みたいになんにも変わらずすぐ隣に立ってて…。しかも学校でヒサのこと好きな女の子の噂とか聞くたびなんかモヤモヤしたりして……。それなのにアンタはなんなの!!」
「……いや、何なのって言われても……(キモイってちょっと傷ついたな…)」
「ホントに何なの! わたしの気持ちなんて考えたことないでしょ! 実は結構寂しかったんだから!! わたしなんかじゃ支えになれなかったとか、結局見守るどころかほっとくことしかできなかったとか、色々色々気にしてたのに。それなのに今みたいに好きでもないくせにキスするとか……冗談でもふざけてる! 大体ヒサは……」
興奮しているせいか、言ってることがゴチャゴチャしてて激しく分かりにくい。まだ続く上に内容が堂々巡りしてきた。とりあえず。
「おい、」
「何! まだ終わってな……っ」
黙らせるためにの唇を自分のそれで塞ぐ。暴れるようにしていたの体が一気に硬直する。
「……ったく、ムードもなにもあったもんじゃねぇな」
「ホッホントにやりやがった…!」
「あのままじゃ終わりそうになかったからな。…おい、一つ言わせろ」
「……なに?」
は俺の腕の中で体は小さくなりながら、でもガンを飛ばして俺の発言を許可する。なんかムカついたから俺も負けずにガン飛ばしてやった。
「俺が好きでもないやつに本気でこんなことすると思ってんのか? あぁ?」
「……思いたくなかったから、怒ったんでしょ。ていうか、マジで?」
「マジ。こそ俺の気持ち考えてなかっただろ。お前の存在がどれだけ俺を踏みとどまらせていたか……。あの時の、お前の一言がどれだけ俺を安心させたか知ってるか?」
は真っ赤な顔をしたままキョトン、と首をかしげる。
どうやらすっかり忘れているらしい。
「あの時?」
「髪切った直後に窓越しにバッタリやっただろ。あん時」
「……あぁ、似合うよ、ってクシャクシャやったやつ?」
「それ。バスケ部でも色々やっちまった後だったし、チームメイトとして上手くやっていけるかとかグルグル考えてた時にが今までのことなかったかのように俺を受け入れてくれたから、すべて頑張れば何とかなるんじゃないかって思えた」
バスケっていう共通点もあったせいなのか、バスケ部のやつらも今ではすっかり忘れて仲良くチームメイトをやってくれている。でも最初のギクシャクしている時でも通うことに苦じゃなかったのは、確かにの一言のおかげだ。
「」
「……ん」
「今更だと思って言ってなかったけど、俺の中では昔も今も、お前はすげぇ重要な存在だからな。それだけは覚えとけよ」
「……うん。ヒサこそ、わたしにとっては、同じだからね」
は少し恥ずかしそうに目をふせてから、俺の胸にもたれかかってきた。
そっと抱きしめると、もためらいながら俺の背中に手を回す。こうして抱き合うのなんて小学生以来だな、と頭の隅で思いながら、俺はふと思っていたことを口にした。
「そういや、俺だってこんなカッコで来られると男として意識されてないのか、ってかなり凹むぞ」
「え?」
「こういうとき、幼馴染って関係は厄介だよなぁ」
「……かもね」
ムード0のキスシーン。
やっといてなんですか、無しですか?
しかも一年前に書いた作品の続きものっぽく書いてるし。
いかんなぁ、突発的に浮かんだものを吐き出してたら。
しかも中盤?勢い付きすぎた。やろうと思ってた流れが勝手に変わっちゃったよ…。
('06/8/27)