名前…。
――なぜ、こんなことになっているのだろう…。
  考えても、さっぱりわからなかった。


お膝拝借


 湘北高校二年、眠たくなったら躊躇なく授業をサボるという点を除けば基本的に真面目で模範的な生徒だった。
 今日も吸い込まれそうな青い空と、春独特の陽気に誘われて屋上へ昼寝に来ていた。二時限目というちょうど暖かくなっきた気温は、昼寝をするにはまさに絶好の温度。重くなるまぶたに逆らうことなく、は気持ちよく目を閉じた。

 キーンコーン……

 は二時限目終了のチャイムでゆっくりと目を開けた。
 時間通りに必ず鳴って、次の授業に間に合うように移動できてかなり便利な目覚ましものだ。
(まだ眠いけど起きないと。さすがに三時限目はでないとマズイな。苦手な教科だし)
 ふぁ、と一回大きくあくびをして身体を起こそうとする。
 …否、起こそうとした。
 身体を起こそうとした瞬間、足が動かないことに気がついた。すぐに何かが乗っていると分かり、その何かも人の頭だということが確認できた。


――そして、冒頭に至る。


(もう一度考えてみよう…)
 は眉間にシワを寄せながら状況を確認した。
 人の太ももを勝手に使っているのは図体のデカイ男。学ランの真新しい輝きからして一年生だろう。顔を向こう側へ向けて気持ちよさそうにいびきを立てている。
(…さて、どうしたものか)
 いや、起こすのだが。
 次の授業は一番苦手な教科。さすがに出席と提出物で点数を取っておかなければ危ない。
 と、いうわけで。

 ゴッ。

 は勝手に人を枕にしている男の頭を思いっきり殴った。それもグーで。
「いって……」
「おはよう」
「? 誰だ、お前」
「…貴様が勝手に枕に使ってくれている人間だ。お前こそ誰だ」
「一年、流川楓」
「そーかよ。って、寝るな!!
 ゴッ
 もう一度殴ると、流川と名乗った男は今にも閉じそうな目を不機嫌そうに吊り上げてをにらんだ。
 の方はというと、にらみに怯むことなくその頬を引きつらせていた。

腹が立つのはこっちだ……!

 次の授業ほど危ない教科はなく、テストで点数がとれないからほかで点数を稼いでおくしかないというのに。しかも授業一時間分たっぷり枕に使われていたせいで足はしっかりしびれている。おまけに遅刻しそう

 キーンコーンカーンコーン

 ……いや、遅刻決定だ。
「うぉうっ!? 鳴っちゃったよ! どうしてくれるんだよ、遅刻じゃないか!!」
「何人たりとも俺の眠りを妨げるヤツは許さん」
それは一番最初に起こしたときにいうセリフだろ!!
「……ぐぅ」
寝ーるーな――っ!!
 その後、起こそうと何度も殴ったり揺すったりしたが、意地でも膝枕で寝るつもりだったらしく、頭を浮かせる気配すらなかった。
 5分ほど格闘して、面倒になったのほうが折れることとなる。
(……まぁ、たまにはいいか)
 そう思ってもう一度身体を横に倒す。自然と降りてくるまぶたをそのまま閉じて、眠りへ落ちていった。

 4時限目の始まりに、まったく同じやり取りをすることになるとは知らずに。



ナンダコレ。
気づくと名前を呼ばれてない。書き直しなのに…。
そう、これは間違えて一回削除されたものを書き直したものです!
…前のが面白かったなー。ますます短くなってるし…。
続きます。
('05/8/25)