無理やり言って書いて貰いました。

ソウルブレット
         〜手紙〜


こめかみの辺りで結んだ森林迷彩のバンダナと、士官服の上着を腰に結んだいつものスタイルで、ユウト・ウォーレス少尉は士官食堂のドアをくぐった。食堂内は昼食をとる兵士で賑わっており、すでに何人かは食事を終えて食堂を出て行こうとしていた。
「あ、ユウト少尉!訓練は終わりましたか?」
その中の一人、補給部隊の若い伍長がユウトに声をかける。それにユウトは不敵な笑みで返した。
「いや、まだ午後に実機演習が残ってんだ」
「そうですか。ところで、シングウジ曹長は?手紙を預かっているんですが」
「あいつならもう少ししたら来るはずだぜ?ペナルティも済んだ頃合だしな」
ユウトの答えに、伍長は眉をハの字にした。
「そうですか。困ったな・・・・・・すぐに戻らないといけないのに」
「そうか、なら俺が後で渡してやるよ」
「ああ、助かります!それでは、お願いします!」
そう言って伍長は封筒をユウトに渡すと、駆け足で食堂から出て行った。
「・・・・・・シオリ・シングウジ、か」
ユウトは受け取った封筒の差出人を確かめると、曲げないように手で持ってカウンターへ向かった。
ユウトは昼食の乗ったトレイを受け取り、空いている適当な席に腰を下ろす。そして、切り分けたカツにフォークを突きたてて、口に運んだ。肉の弾力とサクサクとした衣の食感を感じながら、不意に何気なくカウンターに眼を向ける。すると、昼食を受け取ったばかりのエリスの姿が目に入った。空席を探しているのか、きょろきょろと食堂内を見回している。
「何やってんだ、あいつは・・・・・・」
ユウトは十分に噛み締めた肉を飲み込むと、自分の座っている椅子の足を蹴った。そしてその音に眼を向けたエリスに、空いている向かいの席を指し示した。それに気づいたエリスは、人の間を縫ってそろそろとユウトの元へ向かった。そして、テーブルを挟んで立つと、トレイを持ったまま軽く頭を下げる。
「あ、ありがとうございます・・・・・・」
「いいからさっさと座って食え。冷めたメシが好きなら知らんがな。」
「はい!し、失礼します」
ユウトに促されたエリスは、爆発物にでも座るようにそっと食卓についた。
「いただきます」
わざわざ手を合わせて食前の挨拶をするエリスの姿に、ユウトは思わず口元が緩んだ。その様子に、エリスはサラダにフォークをつける直前で手を止めた。
「隊長?どうかしましたか?」
「大したことじゃねぇよ。気にするな」
ユウトの答えに、エリスは「はあ・・・・・・」と頷き、改めてサラダに手をつけた。その一方でユウトも、ロールパンを千切って口に放り込む。
「で、どうだ?教練所との違いには慣れたか?」
「はい!隊長のおかげで、何とか・・・・・・」
エリスは口の中の野菜を飲み込んでから、控えめな笑顔で答える。それに対して、ユウトはエリスの顔から目をそらすと、人差し指の付け根で鼻の頭を擦った。
「フン、世辞を言っても何も出やしねぇぞ・・・・・・?」
「あ、いえ、そんなつもりは・・・・・・」
慌てて弁解しようとするエリスの様子に、ユウトは僅かに口の端を吊り上げる。
「分かってる。それより早く食え、本当に冷めちまうぞ?」
「あ、そうですよね。すみません」
エリスはユウトに促されると、焦ったように食事を再開する。そんな様子を見ながら、ユウトも二切れ目のカツを口の中に運んだ。
そうして、昼食があらかた片付いたころ、ユウトは預かっていた封筒のことを思い出した。
「ああ、そうだ。お前宛の手紙を預かってたな」
と言いながら、ユウトは預かっていた封筒をエリスに見せた。
「え、本当ですか?ありがとうございます!」
微笑みながら手紙を受け取るエリスに、ユウトは差出人のことを尋ねた。
「家族か?」
「あ、はい!フィフスにいる母です」
エリスは封を切りながら、ユウトの問いに答える。そして封筒から便箋を取り出して広げたところで、ばつが悪そうにユウトを見る。
「あ、すみません・・・・・・つい広げてしまいました・・・・・・」
「構わねぇよ。気にせず読め」
ユウトが小さく口元を吊り上げながらそう言うと。エリスは「ありがとうございます」と言って、母からの手紙を読み始めた。
エリスは時折笑みを漏らしながら、じっくりと、味わうように手紙を読み進めてゆく。その様子を見ていたユウトは、一枚目の便箋が終わったあたりで口を開いた。
「母親は元気にやっているか?」
「はい、安心しました」
エリスは顔を上げると、便箋を二枚目に換えながらユウトに答える。そして、そのままユウトに質問する。
「そういえば、隊長のご家族は?」
「月だ。親父とお袋、それに姉貴が一人、弟が二人いる」
「ご兄弟が多いんですね!私一人っ子ですから、うらやましいです」
ユウトの答えに、エリスは笑顔を輝かせる。その様子にユウトもわずかに笑みを漏らす。
「ところで、隊長。お手紙は書かれるんですか?」
「いや、俺からは書かねぇな。便りがないのは無事な証拠って言うだろ?」
そのユウトの言葉に、エリスはくすっと笑う。
「そうですね。隊長らしいです」
そう言って、エリスは二枚目の便箋に視線を落とす。そして次の瞬間、その顔に一息に赤みが差す。
「?・・・・・・おい、どうした?」
いきなり赤面したエリスに、ユウトは訳が分からず眉根を寄せる。その呼びかけに反応して顔を上げたエリスは、ますます顔に血を集めながら、引きつった笑みを浮かべる。
「い、いえ、大丈夫です!ちょっと動転しちゃって」
「動転・・・・・・?故郷で何かあったのか?」
ユウトはそう言って身を乗り出す。が、エリスは慌てて椅子ごと体を引きながら、つっかえつっかえに弁解する。
「い、いえ、そういうわけではないんです!た、ただ、お母さんがですね。隊長に会ってみたいと、て、手紙に・・・・・・」
核心の見えないエリスの話に、ユウトは首をかしげる。そんな隊長の様子にも気付かず、エリスは話を続ける。
「そ、そのですね!じ、実は、以前お母さん宛の手紙に、た、隊長のことを・・・・・・そ、その・・・・・・き、厳しくて優しい方というように、か、書いたのですが・・・・・・そ、それを見てお母さんは私が、た、隊長に・・・・・・そ、その・・・・・・」
だんだんと小さな声になって行くエリスに、ユウトは小さく口の端を持ち上げて答える。
「そうだな、フィフスの近くに行くことでもあれば、上官として挨拶に行くとするか。」
「そ、そうですか!ありがとうございます!」
まだ頬は赤いままであったが、エリスは少し落ち着きを取り戻して、頭を下げる。ユウトはそんなエリスに「気にするな」と答えながら、懐中時計を取り出して一瞥する。
「さて、午後の訓練の時間だな。覚悟はできてんだろうな?」
そう言って立ち上がるユウトに対して、エリスも立ち上がり、頬を叩いて表情を引き締める。
「はい!よろしくお願いします!」
『こいつは、本当にどこまでもついてくるかもしれねぇな・・・・・・』
ユウトは目の前の従順な仲間を見ながらそう思う。そして、その目には、どこか喜びを思わせる輝きがあった。





御礼!!
我道駆兄者からいただきました、オリジナル小説のソウルブレット短編「手紙」です。
兄者のサイトで8888踏んだので無理言って書かせました。いやー、スンマセンでした。
それにしても、こんなしっかりしたものくれるとは…。
さすが、真面目だけが取り柄の兄者。
お礼にこの二人のイラストでも押し付けようか。
ちなみにこの後に8999番を踏みました。8888踏むより嬉しかったです(笑

ソウルブレットをちゃんと読みたいかたはこちらから兄者のサイトへどうぞ!

ありがとうございました!!
('05/10/23)